ブルシットジョブが無くならない根深い理由

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こんにちは TOMです。

ブルシットジョブと言う言葉を聞いたことがあるでしょうか? メディアでも取り上げられたので知っている方もいるかと思いますが、日本語に訳すと「クソどうでもいい仕事」になります。

著者のイギリス人で社会人類学者のデヴィッド・グレーバーによると「ブルシット・ジョブとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないととりつくろわなければならないように感じている。」とあり、加えて「ブルシット・ジョブはたいてい、とても実入りがよく、きわめて優良な労働条件のもとにある。ただ、その仕事に意味がないだけである。」

それだけ、世界中に蔓延しているブルシットジョブですが、今回は、そんなブルシットジョブを製造業界を事例として紹介する記事にしました。毎日がんばって仕事しているけど、いまいち成果に繋がらないと思っている方は、仕事内容を見直す参考にして下さい。

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そもそもブルシットジョブとは?

ブルシットジョブ=クソどうでもいい仕事です。

著者のグレーバは、ブルシット・ジョブをこう定義した上で、具体的に5つのタイプのくそどうでもいい仕事をあげています。

(1) 取り巻きの仕事:誰かの権威を見せつけるような仕事。具体例、受付、ドアアテンダント

(2) 脅し屋の仕事:他者との勢力争いの上に成り立つ、誰かを脅迫する要素をもつような仕事。具体例、ロビイスト、企業弁護士、広報など

(3) 尻拭いの仕事:誰かのまたは組織の欠陥を穴埋めするような仕事。具体例:苦情専用窓口

(4) 書類穴埋め人:本来必要のない書類を作成し、保管するような仕事。具体例:文書管理部門

(5) タスクマスター: 本来は必要でない人を管理したり、その人達のために余分な仕事を作ったりする人。具体例:中間管理職

20世紀以降、専門職・管理職・事務職・販売職・サービス職で、とくに管理系の仕事が増えました。金融サービスやテレマーケティングなど新しい情報関連産業が創出され、会社法部門、大学の管理部門やヘルスケアの管理部門、人事、広報などの部門が拡大しています。

著者によると、これらが「ブルシット・ジョブ」になるそうで、こういった仕事はやっている本人たちも何の役に立つかわからない感じています。

そして、本当に役に立つ仕事の賃金は低いとも著者は言っています。

たとえば、看護師、保育士、介護士など人をケアする仕事やゴミ収集者、清掃業者などの町を綺麗にする仕事、機械工、ビルメンテナンスと言った仕事はなくなってしまったらこまる職業です。

しかし、保育士や介護士の平均年収は300万円代前半程度と賃金が低く抑えられています。

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製造業のブルシットジョブとは?

製造業におけるブルシットジョブもグレーバの定義する5つの仕事は当てはまりますので、それは割愛し具体的な事例と共に3つご紹介します。

(1)会議の為の会議、資料作りの為の資料作り

製造業では、工場レベルでも生産量やトラブル確認の為の定例会議が行われています。そこには部課長以上の役職者も集まる為、中途半端な情報を出せません。その為、担当者は会議の前に事前会議を行い、報告内容のすり合わせや、情報集めを行った上で会議にのぞみます。その為に早出出社や残業を行っているので、ブルシットジョブになってます。

併せて、部課長が取締役に説明する為の資料の元資料作りも担当者の仕事になっている事が多く、資料の為の情報収集、時にはデータの改ざんを要求され、通常業務を圧迫する傾向にあります。

(2)社内調整・根回し

次にプロジェクトを円滑に進める為に、事前に関係者に合意を取って会議に望む社内調整や、キーマン達の都合を確認した上での、会議日程調整もクソどうでもいい仕事の一つです。

本来は会議で合意を取ったり、内容をブラッシュアップするべきなのですが、日本の製造業においては、何かを決める為の会議は、事前にネゴ取りした上で会議に望むことが多い傾向にあります。

また、数十人単位が集まる会議でも数人のキーマンの出席がないと会議自体の意味がなくなる場合があり、その為の日程調整で担当者が走り回る場面も少なくありません。

(3)決められたルートで仕事を回す

最後は、仕事が回ってくるルートがブルシットジョブになっている例です。

製造工場の末端作業者に仕事が回ってくるまでには、様々な部署を経由してきますが、途中部門は指示を次の部署に流すだけの伝言ゲームなので、内容も少しづつ変化し時間もかかります。

例えば、お客様からの問い合わせがあった場合、最初の窓口は営業部門になります。そこから本社窓口担当⇒工場窓口担当⇒工場製造部といくつも部署を経由していきます。会社規模により経由部門数は異なりますが、大きい会社であればあるほど経由する部門は増える傾向にあります。

途中をなくすことで、お客様の質問の内容に的確に答えられるし、何より時間がかかりません。日本の企業は意思決定スピードが遅いと言われますが、このクソどうでもいい仕事を担っている部門が多いこともその一因と言えます。

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ブルシットジョブができるメカニズム

ブルシットジョブが発生するメカニズムは、立場を守る為にあります。

例えば、組織において役職が上がるほどに実作業を伴う業務は減っていきます。それでも必要十分な仕事があれば、新しい仕事を増やす必要はありません。しかし、現実には中間管理職を必要とする仕事は少なく、いない方がスムーズに回ります。

その為、中間管理職の方は仕事を作り自分の立場を守る必要がありますので、結果として本来しなくてもよかった、ブルシットジョブが増える事になります。その仕事が何十年も続くといつしか歯車の一つとなり、止められない状態になります。ブルシットジョブは増え続ける一方で減ることはないのが怖いですね。

ただ、思い切ってブルシットジョブを止めた場合、今度は職を失う人も大量発生するので、雇用維持が難しくなる弊害があります。

最後に

今回は製造業の事例を中心にブルシットジョブについて記事にしました。あなたがしている仕事は本当の意味で社会の役立っていないかもしれませんが、雇用を守る為の一因になっている可能性があります。

問題は、役に立つ仕事をしている人の給料が安く抑えられていることです。

製造業においても現場で走り回っている人ほど安い給料で、事務所の奥で座っている管理職ほど高い給料になっています。

目先の改善は、そのバランスを見直すことかもしれませんね。

ブルシットジョブについて、もっと知りたい人は、メッセージを下さい。

ちなみに、2020年7月『ブルシット・ジョブーークソどうでもいい仕事の理論』(デヴィッド・グレーバー著・岩波書店)の邦訳が発売されておりますので、ブルシットジョブについて、興味が湧いた人は、そちらも参考にして下さい。

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