こんにちは TOMです。
前回は「バブル世代」について紹介しましたが、今回は「就職氷河期世代」について紹介したいと思います。「就職氷河期」とは、1993年〜2005年の就職難が深刻化した年代のことです。日本のバブル崩壊の影響で景気後退が長期化し、企業が新規雇用を手控えたことで生まれた世代のことを指し、おおよそ、1970年~1984年ごろに生まれた方が該当されます。名前の由来は雑誌「就職ジャーナル」が「就職氷河期」と名付けたことにはじまります。
1993年からは、有効求人倍率が1を割り込んで、働きたくても働けない労働者の増加が10年以上続きしました。
世間から不遇な世代と認知されていますが、その反面優秀な人材も多く、これからの活躍を期待されている世代でもあります。最近では、この厳しい時代に社会人となった世代への、国からの支援策が話題となっていますね。「就職氷河期世代」の特徴と関わり方をご紹介していきます。
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就職氷河期世代が生まれた背景
就職氷河期が生まれた背景は、1990年のバブル崩壊をきっかけにして景気が大幅に後退し、バブル時代に過剰に人員を採用しすぎていた為、一斉に採用数を絞り帳尻を合わせたことにあります。日本では正社員を簡単には解雇できないので、採用数を減らすしか方法のない弊害が顕著に現れた世代でもあります。
また、消費税の引き上げ、財政の緊縮政策、不良債権処理の失敗による大手金融機関の破たんが起こったことにより、就職氷河期はさらに長く続くことになります。大学を卒業しても、正社員での就職先が少なく、公務員試験の倍率も大幅に上がり、希望せずフリーターや派遣社員などの非正規労働者として過ごすことになってしまった人が多くいます。
就職氷河期世代の4つの特徴
就職氷河期世代は、経済的に厳しい環境に置かれた期間が非常に長い為、「真面目で堅実」な人が多くいます。運よく正社員で就職できた人でも、給料も上がらず、転職先もないという辛い状況を経験してきています。ここではその他の特徴も合わせて4つの特徴を紹介します。
(1)正社員が少ない
就職氷河期世代の1つ目の特徴は、正社員が少ないことです。就職氷河期世代は優秀な大学を卒業したにも関わらず、フリーターや派遣社員にならざるを得なかった人が多くいます。
運よく就職しても、厳しい状況のなかで20代を過ごし、体や心を壊してしまった人もいます。
また、正社員としてキャリアをスタートできなかったことから、転職でも履歴書でアピールできる職務経歴が少なく、能力があっても、正社員での転職が難しい傾向があります。
有効求人倍率が高い今の時代でも、年齢が40前後になって職務経歴が少ない氷河期世代は、転職市場からはじかれてしまい、それが社会問題となっております。
(2)貯蓄が少ない
2つ目の特徴は、貯蓄が少ないことです。
非正規雇用の割合が多い就職氷河期世代は、賃金を低く抑えられている為、相対的に貯蓄額も少ない傾向にあります。また、正社員でも人数の多いバブル世代が、役職に就いていることが多く、出世コースから外れることで、年収が低くなる要因にもなっています。
就職氷河期世代は、今後も給与Upが見込みづらい人が多く、人手不足といわれる今でも、キャリア形成ができず、貯蓄が少ないままだと予想されます。
(3)真面目で堅実であり、淡々とした仕事をこなす
3つ目の特徴は、真面目で堅実であり、淡々と仕事をこなす人が多いことです。
正社員を目指して、非正規雇用でも文句も言わず働いたり、資格取得の為に常に勉強している人も多い傾向があります。そして、仕事に対する環境が恵まれなかったことから、仕事が無くなる事に対する危機感を持っており、真面目で堅実な印象を持たれる傾向があります。
加えて責任ある仕事を任されず下積み期間が長い傾向にあり、場職の最前線で働くことが多いため、
仕事上発生するトラブルの矢面に立ったり、クレーム対応など感情的にならず、仕事を淡々とこなす処世術を身に付けている人が多くいます。
(4)独身・晩婚夫婦が多い
4つ目の特徴は、独身・晩婚夫婦が多いことです。
将来に対するキャリアプランが見通せない就職氷河期世代にとって、結婚や出産としたイベントはライフプランに組み込みにくいイベントです。自分が生きていくだけでも必死なのに、結婚・出産・養育費など、必要経費がかさむ事に積極的になれない人も多く、独身の方や収入が安定してきた晩年に結婚する夫婦も多い傾向があります。
出生率の低下がニュースになってますが、結婚している女性の出生率はここ30年ほど横這い状態となっております。出生率の低下は実は結婚率の低下にあることが分かってきました。
就職氷河期世代の結婚率低下が結果的に出生率低下に繋がり、少子化が加速した現実があります。
就職氷河期世代は優秀?
不安定な労働環境で働き続けていた就職氷河期世代は、実は「優秀」な人材が多いと言われています。
就職氷河期世代は、学歴社会の中に生きてきましたが、同世代人口が多いため、幼いころから激しい受験戦争を体験してきました。更にバブル崩壊後の景気がよくならない中、真面目に働いてきたストイックさがあります。タフで過酷な環境を生きてきた就職氷河期世代が、どう優秀なのか3つの項目を紹介します。
(1)仕事に真面目に取り組む
就職氷河期世代が優秀と言われる1つ目の理由は、仕事に真面目に取り組むことです。
就職氷河期世代はアルバイトや派遣と言った収入や仕事が安定しずらく、すぐに解雇されやすい仕事を続けてきました。その為、仕事で手を抜くことを考えることが少なく、長期雇用につなげるため質の高い仕事をする傾向があります。知識やスキルを学ぶ意欲も高く、就職氷河期世代の真面目な態度は、他の世代から見ても特に優秀な部分でしょう。
(2)精神的にタフな人が多い
2つ目の理由は、精神的にタフな人が多いことです。
不安定な状況で働き続けてきた就職氷河期世代は、厳しい仕事に対しても雇用の継続のために真摯に取り組んできていました。特に、遊ぶことや手を抜くことが好きな「バブル世代」を反面教師として育ってきていますので、新しい仕事で難しい状況でも、逃げ出さず仕事をする傾向にあります。
また、若手の頃は長時間労働に関する規制がゆるかった時代でもあり、残業や休日出勤を多くこなしてきたので、下の世代に比べても、精神的にタフな世代であるといえるでしょう。
(3)環境変化に強い
3つ目の理由は、環境変化に強いことです。
就職氷河期世代は非正規雇用としての就業経験が多いことから、労働環境が定期的に変わっていました。また、パソコンやインターネットの普及により、働き方も大幅に変わった時代を生きてきました。働きだした当初はFAXと電卓で仕事をしていたのが、E-メールやExcelといったツールに変わり、私生活でも、アナログ~デジタル、使い捨て文化~リサイクル文化までで全てを経験してきている世代です。
劇的な環境変化に対応してきた経験が大きな強みであるといえます。
最後に
就職氷河期世代は、安定しない雇用環境の中でも仕事を続けるために継続的に努力を続けてきた能力の高い人材が多い世代です。そのため実務面で氷河期世代から学べることは沢山あるので、積極的に学んで行きましょう。
また、就職氷河期世代の市場ニーズは高まっています。バブル世代以降、企業が極端に採用を減らした為、働き盛りの40代が不足していること、加えて、採用数の多かったバブル世代が役職から減っていき、管理職不足が訪れるからです。
また、現在の企業は、バブル世代とゆとり世代以降の若手が多くを占めるようになっており、昔のように会社の為に真面目に働いてくれる社員がほとんどいなくなっています。それも真面目で堅実な氷河期世代の市場価値を高くする要因となり、今後さらにニーズが高まっていくといわれています。
就職氷河期世代の方は、現場の最前線で汗をかき続けてきた自分のスキルを信じて、自信をもって行動することで、価値は認められていきます。