こんにちは TOMです。
サラリーマンをしていると、度々「経営者目線」で仕事に取り組むようにと指導されます。しかし、そもそも「経営者目線」とは何か?経営者になった事がない者に「経営者目線」を持てと指導してもイメージができません。今回は、「経営者目線」を持つ理由や、どのように仕事に取り組めばいいのか?について考察してみましたのでご参考にして下さい。
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「経営者目線」と言う言葉ができた背景
経営の神様と呼ばれた松下幸之助が、著書『社員稼業』で、「自分は単なる会社の一社員ではなく、社員という独立した事業を営む主人公であり経営者である、自分は社員稼業の店主である、というように考えてみてはどうか」と残しています。
この一節が、「経営者目線」を持てと言う指導に繋がったと思いますが、言葉の表面だけを捉えて指導している場面が多く、「経営者目線」の意味が伝わっていない印象を受けます。
松下幸之助の言う「経営者目線」とは、今の仕事内容で自分会社を経営する場合、どう考えて行動するのが自分会社の利益になるのか考え、今の仕事に集中しようと言うことだと思います。
上司が伝える「経営者目線」の真意
「経営者目線」の意味は、指導する立場の人で意味合いが変わっています。例えば、
・自分の利益だけでなく、会社全体の利益を考えろ
・中長期的な目線で考えろ
・会社の特色を考慮して動け
・短期的な利益でなく、長期的な利益を考えろ
などがあります。今働いている会社の経営者になったら、どう行動すべきかを考えさせる指導ばかりで、「今の仕事に集中しよう」とは意味合いが変わってきます。
これは、会社が大変な時は、給与カットや残業代がでなくても、一生懸命会社のために働けと言う意図が裏にあります。本当に会社のためになる経営戦略を提案しても、「口出しするな」と言われて終わりでしょう。つまり、「余計なことは言わず、会社のために身を粉にして働け」と指導したいのですが、直接的な表現ができないので、「経営者目線」と言う言葉で濁しています。
全員が「経営者目線」で働いたらどうなるか?
「経営者目線」を持てと指導して、本当に経営者のような行動を始めたら経営者は困ります。
例えば、全社で進めていたプロジェクトを会社の利益になるからと、従業員が勝手に内容を変えたり、高額な費用の決算を勝手に承認したりすると混乱が生じます。
そもそも、経営者は会社と言う船をどの方向に走らせるとベストなのか判断する役割です。「船頭多くして船山に登る」ということわざがありますが、全員が船頭になると、思わぬ所に行きつくので、それぞれ適した役割をまっとうすることが、会社をうまく走らせる方法です。
従業員は、今の仕事に集中して、与えられた役割の中で会社の利益を出すためには何をすればよいのか考え、経営者は従業員が幸せに安全に暮らせるよう航路を決め、しっかり責任を持つ役割をまっとうしましょう。
社員稼業のプロを目指す
「経営者目線」を持って仕事をしたところで、従業員である事に変わりはありません。どれだけ成果を出し、会社の利益に貢献しても、役職に準じた給与が毎月もらえるだけです。
真面目に働く人ほど、会社の利益のために何ができるか考え、自分を犠牲にしてしまいます。しかし、どれだけ頑張っても、従業員は時間給であることは変わりません。自分の時間を会社に提供する対価として給料を受け取るという関係です。
もしかしたら、査定Upや昇進することはあるかもしれませんが、利益の何割かをもらえることはまずありません。がんばった分のリターンがほぼないのが日本のビジネスパーソンです。
会社の未来を案じ、苦楽を共にするのが経営者の役割です。仮に泥船であっても従業員がそれに付き合う必要はありません。与えられた仕事は、きちんとこなす必要はありますが、給料に見合った働きをしていて、会社の業績が悪くなった所で、経営者があなたに文句を言う筋合いはありません。むしろ「私の船頭が悪く、従業員に迷惑を掛けた」と謝ってもいいくらいです。
そう言った意味で、日本企業の従業員に必要なのは、松下幸之助が言った、「社員稼業の店主」の考え方です。与えられた仕事の中で、どう考えて行動するのが自分会社の利益になるのか考えましょう。
最後に
今使われている「経営者目線」を持てとは、精神論となっています。従業員が10年後を考えた行動をしたとしても、変化の早いこの時代の10年後は願望でしかありません。
せいぜい2~3年後を想定して行動することが限界です。しかし、2~3年後の経営戦略は、中間管理職の人がコントロールすげき役割をになっており、やはり一般従業員には口出しできる権限はありません。結局の所、従業員に「経営者目線」を持てと言ったところで、従業員が本当に経営者的に仕事ができることはありません。
現代において、「経営者目線」を持てと指導する企業が、本当に従業員の成長を望んでいるのか疑問があります。経営者ではなく、各人毎の戦略目標の設定や明確な評価基準を示すことが成長に繋がるでしょう。
そのために経営者は、曖昧な指導を止め、従業員に権限と裁量を与え、進むべき道を示しましょう。
そして、従業員は、自分の仕事の範囲で周りの上司や同僚をお客様に見立て、どう行動したら満足するのか考え、自分会社が最大限利益を生むように行動しましょう。そんな会社と従業員がWin-WInの関係になれる社会くることを望んでおります。