こんにちは TOMです。
「大人になったらなりたいもの」ランキングで「会社員」が一位となったことが話題になりました。
それまでのアンケートでは、「ユーチューバー」、「スポーツ選手」や「パティシエ」が上位だった事に対し、今までの結果とは大きく異なる傾向になっております。
「会社員」が一位になった理由として、新型コロナウィルスの影響で在宅ワークする親が増え、働いてい姿を身近に感じて、具体的イメージが湧いたのではないか?
もしくは、飲食店が苦労している報道を見て、毎月の給料か安定している「会社員」が良く見えたのではないかと言う見解があります。
在宅と安定だけが理由なら、推測ですが「会社員」ではなく「大企業の正社員」と言うのが本当に成りたいものなのでしょう。ただ、私自身「会社員」として働いていますが、この結果にすごく違和感を覚え、子供の将来が心配になったので、なぜ「会社員」を選んだのかの考察したいと思います。様々な意見の一つとしてご参考にして下さい。
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「会社員」と言う職業はない!
「会社員」とは、雇用形態であり、職業の一つではありません。
「医者」でも「パティシエ」でも、会社組織に雇用されているなら、それは「会社員」となります。仮に「ユーチューバー」でも会社に雇われ、その企業の公式「ユーチューバー」として活躍しているなら、それは「会社員」となります。
・職業/職種:「スポーツ選手」「パティシエ」「美容師」
・雇用形態:「会社員」「個人事業主」「フリーランス」
と言った枠組みになります。
厚生労働省の発表によると日本の労働者雇用形態の内、約90%が「会社員」に当てはまりますので、実は職業にこだわらなければ、なれるのが「会社員」と言う雇用形態です。
それにもかかわらず、アンケートの選択肢に「会社員」が入り、それが1位になった事実にまず違和感を感じました。
ただ、この「会社員」と言う選択肢は、何らかのアンケートに必ず出てくる項目で、大人でも良く目にする機会が多く、日本人が「会社員」=職業と紐付けられている根深い意識付けがあります。
なぜ「会社員」が職業と言う認識になってしまったのか
日本人にとって「会社員」=職業となったのは、戦後復興に向けた学校教育に起因していると考えます。
戦時中は、上官の命令を理解して、従順戦う兵士を育てる為の教育が行われていました。その土台となる考え方は、戦後の学校教育に残っており、製造業の作業者を育てるのに一役買いました。経営者の指示を理解し、文句を言わず、従順に仕事をしてくれる従業員を多数確保できた事で、高度経済成長を経て、早期復興を成す事ができました。
ただ、結果が出たことにより、この教育方針は長いこと日本教育に残り続けることになります。
長いこと学校では先生の言うことを聞く生徒や学級員としてクラスをまとめる生徒を優秀な人間として扱ってきました。それに対し、言う事を聞かない生徒は不良のレッテルを貼られ、テストの点数が悪かったり、忘れ物、遅刻が多い生徒は落ちこぼれの烙印を押され、廊下に立たされたりしました。
今でこそ、そんな先生は糾弾される存在となっていますが、昭和の時代では当たり前の光景でした。
そんな言う事を聞き、一定水準以上の理解力を求める教育をずっと続け、新卒一括採用で「会社員」以外の選択肢を見えなくしてきた結果、日本には「会社員」で溢れかえるようになりました。
その為、学校教育の終着点が会社組織の一員になると言う構図を作り、「会社員」が職業として認識されるようになったと考えられます。
日本の教育が「会社員」文化を生んだ
日本の学校教育は、集団の中で人と違うと言う多様性を認めず、暗記に特化したテストの結果だけで評価を行い、落ちこぼれた生徒を排除してきました。集団から外れた生徒はイジメの対象となってしまうので、子供達は学校の中で弾かれないよう、必死に集団に溶け込むようになります。
その結果、学校は周りと同化でき、トラブルを起こさない人材を育てる施設となりました。
以下は一般「会社員」に求められる能力ですが、学校での指導と合致している箇所が多く見られます。
・マニュアルや指示を理解する識字能力・・・国語/算数の能力
・指示通りに作業し反発しない従順性・・・体育館での整列、体育での連帯活動
・ラインを止めず、周りと共同で作業を進める協調性・・・足が揃うまでの行進、組体操でのピラミッド
・作業内容を記憶する暗記力・・・暗記系テスト全般
日本の学校教育は、戦後復興においては、非常に効率的に機能し日本の発展に大きく貢献してくれました。しかし、国が成熟し”ひらめき”や”斬新なアイデア”を求められる現代においては、うまく機能しなくなってきました。そう言った意味でも学校教育は変革期にきていると思います。
いつから、集団教育が始まったのか
「日本人は元々農耕民族で集団での作業は得意としてるし、周りに合わせる空気を読む文化があるので、無理に学校教育を変える必要はないのではないか」と言った意見もあると思います。
しかし、今の学校教育は明治以降の軍隊教育を戦後に踏襲しただけの、歴史の浅い教育方針です。
例えば、江戸時代の寺子屋は、教本の模写や年配者が年下の物に教えるといった、個人レッスンに近い形態となっており、現代の集団教育は近代になってから生まれた物です。
その為、日本人は昔から集団行動が得意で、集団の中にいることが幸せと思っていますが、実は、個人主義が強い国民性が本質だと思います。
例えば、他人の目を気にしているのは、裏を返すと他人に干渉してほしくないと思っていからです。また問題解決に他人を巻き込まず、一人で解決しようとする傾向のあります。イジメを受けた子が親にも相談できず、自殺してしまうのは、その最たる例ではないでしょうか。
和より個人主義が本質の日本人が、お上の管理がしやすいと言う理由で集団教育を幼児教育~高校まで15年も受けていれば、本質とは違う「会社員」がなりたものになっても不思議ではないですね。
最後に
新型コロナウィルスによる生活環境の変化、特に子供達が将来の安定性を望むような不安な状況になってしまっている事が「会社員」を1位にした、直接的理由だと思います。
ただ、それでも「会社員」が1位になった事に私は違和感を感じてしまいました。それは、「会社員」になって何をしたいと思う子供が少ない事実があり、大人が子供に具体的未来を示せていない罪悪感があるからです。
ここ数年、様々なメディアには、「ダイバーシティを取り入れる」や「個性を活かす時代」だと言われているにも関わらず、それでも「会社員」を職業として扱い、1位を取る結果にうれいを感じています。
知識として得た情報と、幼いころから染みついた習慣がアンマッチを起こしているのが今の時代だと思います。新型コロナウィルスを発端に、日本教育の根深い問題が見えたような気がします。