こんにちは TOMです。
日本的労働慣行と言えば、「終身雇用制度」、「年功序列賃金制」と言ったものを思い浮かべると思います。しかし近年では、「終身雇用制度の維持は難しい」、「ジョブ型を導入して優秀な若手を高賃金で確保する」と言った動きが加速しております。
「日本的労働慣行」が崩れかけている状況ですが、この「日本的労働慣行」がいつから始まったのか、変化の激しい現代でも、この制度は有効なのか考察してみたいと思います。また、合わせて日本で一般的な8時間労働についても記事にしますので、これから社会に出る人や、今の働き方に疑問を感じている人は、ご参考にして下さい。
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日本的労働慣行とは
「日本的労働慣行」=「終身雇用制度」「年功序列賃金制度」「退職金制度」「企業別労働組合」「新卒一括採用」と言った制度は戦前からありましたが体系化されたのは戦後からです。この「日本的労働慣行」により日本は、高度経済成長を向かえバブル経済まで右肩上りの経済を支える土台となりました。この「終身雇用制度」「年功序列賃金制度」「企業別労働組合」「新卒一括採用」とは何かおさらいしていきます。
(1)終身雇用制度
正社員採用後は、定年まで雇用が保証される制度のことです。よっぽど問題があれば懲戒処分されますが、仕事が遅いやミスばかりする程度では解雇されませんので、従業員は将来設計ができ、会社側も優秀な社員を長期雇用できるメリットがありました。
ただ、約5割の人が転職する現代において、特に優秀な社員ほど転職する傾向が強くなり、優秀な社員を繋ぎとめておけなくなった会社側のメリットが薄れつつあります。
(2)年功序列賃金制度
勤続年数や年齢に応じて、基本給が決まる制度のことです。特に大きな実績を上げなくても、長く勤めるだけで給料が上がっていくので、「終身雇用制度」と同じで従業員は将来設計ができるメリットがあります。会社側も長く勤めないと給料を上げないので、優秀な社員を長期雇用できるメリットがありました。
しかし、企業の労働人口ピラミッドがいびつになった現代では、働かないのに、給料の高い先輩社員に不満を持った優秀な社員が転職していくと言う問題が発生しており、会社側のメリットが薄れています。
(3)退職金制度
定年まで勤め上げた人に、勤続年数に応じて支払わる対価のことです。従業員は定年後にまとまったお金を手にすることができ、老後の不安が軽減できますし、会社側も日頃の賃金を安く抑える代わりに最後まで勤めるとご褒美があると示すことで、優秀な社員を長期雇用できるメリットがありました。
しかし、若年層で退職すると極端に安い金額であったり、雇用の維持ができない企業増えたりと長期間の雇用自体が怪しい現代においては、適正な制度か疑問があります。代わりに確定拠出型年金と言った年金制度に移行している会社が目立ちます。
(4)企業別労働組合
各企業に勤める管理職未満の社員によって構成される組合のことです。海外では産業別労働組合が一般的ですので、企業別に労働組合があるのは、日本だけの特徴です。
企業別に労働組合があるおかげで、従業員は、ベースアップや労働環境の改善と言った要求をすることができ、会社側も従業員に会社側の意向を伝えやすいと言ったメリットがあります。
ただ、一般従業員の役職が上がって管理職になるのが一般的な日本企業において、会社側の立場、労働組合側の立場が曖昧になっているのが現状です。また、非正規雇用の割合が増えている現代におて労働組合の意味があるのか疑問になっております。
(5)新卒一括採用
高校や大学を卒業前の生徒・学生を対象として、企業が一斉に募集を掛け、集団面接等を決まった時期に行う慣行のことです。学生側は決まった時期に決まったプロセスで企業にアプローチでき、会社側も毎年新しい人材を確保できるメリットがあります。
しかし、新卒採用の波に乗り遅れると長期的に就職先が決まらない学生が出るデメリットがあったり、会社側も実績のない学生の将来性だけで採用する為、見極めが難しくなるデメリットがあります。
日本的労働慣行が出来た歴史的背景
「日本的労働慣行」は、戦前から存在していましたが、体系化されたのは戦後になってからです。もともとの日本は畑を耕しながら、工場で働き、賃金が良い所を渡りあるくような、副業や転職が一般的でした。今の推奨されつつある働き方に近いものがありますね。
ただ、当時は、会社が優秀な人材を引き留めることができなかったので、様々な奨励制度を考え、それが「日本的労働慣行」になったのが始まりです。
それが戦後、労働基準法と言った法律に則り体系化され、高度経済成長を背景に「日本的労働慣行」が定着していきました。
日本的労働慣行のメリットを活かせる人材とは
ここまで、「日本的労働慣行」の制度内容や歴史的背景をご紹介しました。現代に合っていない点もありますが、それでも「日本的労働慣行」が急になくなることはありません。では、どの様な人がこの制度のメリットを活かせるかご紹介したいと思います。
それは、定年まで潰れそうにない会社に正社員で入社できるが、仕事に自信がなく上昇思考もない、ただ、会社から転勤事例や安い給よでも従う人です。かなりネガティブな内容ですが、「日本的労働慣行」のメリットを活かすなら、これくらい極端でなければなりません。
長期雇用する代わりに、労働者の人生を捧げることに向いた制度です。本人の成果に関わらず、安定した給与がもらえますので、成果を上げる自身がない人ほど、そのメリットが大きく、逆に成果を上げても給料に反映されないので、頑張る人ほどメリットが少なくなります。
「8時間労働」について
日本だけの制度ではありませんが働く上で、労働時間も大事な要素です。ここでは、8時間労働についても触れておきたいと思います。
1919年に国際労働機関が創設され、世界的に1日8時間労働が条約になりました。日本も同年に8時間労働を取り入れる企業が増え、1947年に労働基準法で制度化されます。その後、いくつかの改訂を経て、現在の「1日8時間」「週40時間」の規定なりました。
ただ、この「8時間労働」自体がモノを作ることを前提とした制度である為、知識労働が主流になりつつある現在において適した制度かが疑問です。自動車のライン作業者の様な仕事の人は、労働時間を明確にする意味があり、労働者を守る意味や1日の生産量を測る指標になります。
しかし、ホワイトカラーに代表される事務仕事がメインの人やクリエイティブな仕事をメインとする人にとって、労働時間=給料では本当の成果が見えない現実があります。
はっきり言えば、今の8時間労働の制度では、同じ仕事を早く仕事を終わらせる人より、残業までして遅く終わらせる人の方が高い給料がもらえてしまうのです。
最後に
今回は「日本的労働慣行」について、ご紹介しました。
・終身雇用制度
・年功序列賃金制度
・退職金制度
・企業別労働組合
・新卒一括採用
+8時間労働
これらは、戦後の日本の成長に貢献した制度ではありますが、バブル崩壊以降、企業の倒産や利益が上がらない企業が増えたので制度自体の維持が難しくなってきました。また、非正規雇用の増加と言った労働者の環境も変化して、従来のような働き方がでない状況が続いております。「日本的労働慣行」を見直す時期に来ていますね。自分自身にあった働き方を見つけ、変化の激しい時代を生き抜いて行きましょう。